4.外見/驚異の部屋 家族で見れる? 泣きそうになる程現実の憧れ,疎外,罪も美も恐怖も
Netflix、ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋
全部観たし、好きなのは何個かあるもののどうしても4,外見 の話がグサグサと悲しいやらリアルやら、とにかく強烈に刺さったので記したい。
私が感傷的過ぎるので面倒い事長く言ってます。
ちなみにヌードシーンはあるものの芸術的でイヤらしさを感じないです。
ただ、女性達の会話の下ネタがエグいし多すぎるし、胸、手のエロティックな強調のされ方がド凄いので私は家族では見れない…絶対。
グロシーンは悪趣味!!って程ではありませんが普通にあります。あと、皮膚を掻く、赤く爛れるとかがあるので人によっては苦手かもです。
以下ネタバレ含ですーーーーーーーー
タイトルの通り、外見がテーマで、怪奇な出来事はあるものの、むしろ主人公、そして世界の美やらの持つ怖さがゾクゾクするお話でした。
主人公の女性は自身の外見に嫌悪感を持っていて、美に強い憧れがある。
勤め先の同僚達は皆、美容にこだわるキラキラした人達。
彼女達に憧れを持ち輪に加わりたいけど、どうも馴染めない。
この馴染めない感じの描き方が、よくあるブスな女の子が主人公の恋愛マンガだのに多い、主人公に非が無いのに美人がキツくて可哀想!の構図ではない。
主人公が馴染めないのは外見のせいだけじゃ無く性格のせいもあって、しかもその性格は本人がひねくれてるとか卑屈とか、悪い訳じゃなくて、根っから周囲と相容れず浮いてしまう性質なのがどうもやるせない。
美人達が主人公を軽蔑したり、疎外気味にするのも酷く意地汚いという訳ではなく、確かにそうなるのも理解ってしまう…というのが実に実に!現実的、すごく現実的な構図。
実際、現実ではどうしようと人は輝く人達、惨めな人達、の構図がある。
しかも、主人公がその事を理解した上で心からは受け入れられない、というのが何とも苦しい。
実際に映像で主人公のどうも浮く様子を観ると、痛々しくて目を背けたくなる。
旦那?はありのままの主人公を肯定してくれるものの、コンプレックスを持つ人なら誰しも分かるであろう、どんな綺麗事を並べようと美の持つ力、醜い事の残酷さに苦しむ主人公の旦那に持つ不満がとてもリアル。
旦那が宥める為に主人公の長所を言うが、内面のことばかり。どうしても変わらない外見は事実。
こういった美の憧れや苦しみを、外見を生まれ変わらせるローション、というアイテムを通して見事〜に描いたと思う。
主人公が正気か狂ったか分からずともイカれた行動に走るのも、どこかでスカッとしちゃう。
生まれ変わった主人公はやっぱり心から可愛くて美しいなと美の力を実感してしまって、前半の主人公の苦しみと旦那の綺麗事と世間の美は正義、というのがムカムカするようなスカッとするような。
そして生まれ変わったのに、最後の笑う主人公のシーンで不安になって世界に不信を抱かされた気分になった。
あといーっちばん褒めたいのは女優さんの顔!!
加工かと思いますが、所謂「ブサイク」じゃなくって、本当に不思議な顔。私だけか分からないけど、見てて不安になるし、怖さがある。醜いとは思わないし、可愛さもあるような。ただ、周囲と相容れない顔としてはしっくりしてしまう。
醜さを扱う作品だと累やノートルダムの鐘とかが浮かぶけれど、この不思議な顔程悲しくなる顔、表情の演技に惹き付けられるのは中々無いと思う。眉と大きい眼の悲しさ、鼻、口、顎の絶妙なバランス、生まれ変わった後の、こうなるのか!!となる落差といい、最高に印象的。
ローションとか、犯罪やら下ネタやら別人なのに気にしなすぎ!!とかつっこめば沢山あるけど、ルッキズムに苦しむ自分には刺さるし、表現のうまさ、リアルさがとっても好きな作品でした。
現代でも昔でも、弱肉強食の世界で美は一種の強さで美しくなる事は強くなること。どんな綺麗事言ったって、それは変わらないのに。
逞しい体や権力と同じように巧く使えば強さの一種、呑まれる事もある。
しかし美となると整形やらありのままやら、手に入れるのに当たりが強いような…。とかグチグチ思ってしまう。
関係ないけど、ローション開発者の博士、フルハウスのジョーイに似てたな。
あと、CGのローション人形のシーン、シャイニングの裸美女思い出す。
あと、日本語字幕、吹き替えがちょいとポパイ感あって好き。